その7
夏美
「まあ、そうなるよ。黒原さんが紅丸さんの主旨を理解してね、当時旧南玉連合を仕切っていた土佐原さんに話を持ち込んだんだよ。お二人は、以前から気心を通じてた仲だったそうだから、」
ふう…、そう言う経緯があったのね
土佐原OBは、故黒原先輩とは懇意だったとは聞いてはいたけど…
...
「…紅丸さんは鋭い感性で、この地の若い女は単なる発熱だけじゃ留まらないだろうって…。そう、早くから察知したんだろう。自分達がバイク乗りまわして旗振って、その辺の女の子に勇気を与えるって当初のイメージよりも、反応は極めてアクティブだったということだろう」
これも今では皆周知のことなんだよね
「…要するに、多くの発熱娘たちが自分達も女だけでバイクに跨って、紅組のお姉さんみたいに肩で風を切ってみたいと思い抱てるのをさ、あの人は敏感にね…」
本当に紅丸さんの感性が捉える本質には恐れ入るわ…
...
「…しかし、紅丸さんは紅組の少数精鋭方針を崩すつもりは全くなかった。いざという場面においては、実力行使を敢行できる実戦集団でないと意味ないと確信していたからね」
実戦集団か…
この辺りが南玉連合とは違う点よね
「となれば、巷の若い女をなりふり構わず加入する訳にはいかない。そうなると、必然的に少数グループを結成したレディースが続出するだろうという懸念がでてくる…。で、それはすぐに現実のものとなった…」
そう…、紅丸さんの懸念はすぐだったそうよ
それに…、今だって…
...
「…世間からは、あのアメリカ帰りの大女は女の暴走族をこの地に大量生産させてと、非難されてね。でもあの人、危険人物だって陰口叩かれても、どこ吹く風だったようだ(苦笑)」
「クスクス…」
「…その紅丸さんは常識にとらわれない人である一方で、現実的でもあるからさ。きっと、今の世の中ではこの流れは止まらないだろうと予測できたんだろう。…じゃあいっそ、そんな猛る少女たちの受け皿を用意して、さらに”モデルケース”を作っちゃっえってね」
「その受け皿が南玉連合なんですね!なるほど…、今の南玉連合は、ゆくゆくはこれからどんどん他県でも誕生するであろう、女の集団のあるべき理想像を担う使命がある訳か…」
「まさにそこさ。だから、その紅丸さんの意向を汲み取れたからこそ、黒原さんはあの時点で女性ライダーのセクションを抱え、堅実な組織運営を実践できていた土佐原さんの南玉連合に白羽の矢を立てたんだろう」
「はい…」
...
「…そして、土佐原さんもまた、紅丸さんのインテリジェンスを備えた熱意に感服されたそうでな。当然、メンバーからは強い抵抗があったが、黒原さんの協力も得て新たな男の集団を結成し、更に女性集団となった後も、南玉連合には後見役ポジションを有することを条件としてコトを収めた。…その結果、新集団は女性勢力となった南玉連合にも影響力を残す形態ができてね」
「それが、今のOB連の原型ってことですね!」
「そうだ。旧南玉連合の男の年長者が、いわば監査役みたいな形で女性集団の組織運営に関与する仕組みはさ、結果として、女子高校生の自主運営を補完する極めて有効な機能を果たすと‥。このことは、キミが良く承知してるはずだ」
「はい!」
「はは…、もっとも、もともとしっかりとした組織ガバナンスの地盤をさ、土佐原さんらが長きにわたって築いてきたことが、まずはあるったと思うよ。まあ自虐的だが、我々墨東会にはその辺が欠如してる。だから、最初に言った伏魔殿ってね…」
この人、何て謙虚なの
自虐的なほどよ…
夏美
「まあ、そうなるよ。黒原さんが紅丸さんの主旨を理解してね、当時旧南玉連合を仕切っていた土佐原さんに話を持ち込んだんだよ。お二人は、以前から気心を通じてた仲だったそうだから、」
ふう…、そう言う経緯があったのね
土佐原OBは、故黒原先輩とは懇意だったとは聞いてはいたけど…
...
「…紅丸さんは鋭い感性で、この地の若い女は単なる発熱だけじゃ留まらないだろうって…。そう、早くから察知したんだろう。自分達がバイク乗りまわして旗振って、その辺の女の子に勇気を与えるって当初のイメージよりも、反応は極めてアクティブだったということだろう」
これも今では皆周知のことなんだよね
「…要するに、多くの発熱娘たちが自分達も女だけでバイクに跨って、紅組のお姉さんみたいに肩で風を切ってみたいと思い抱てるのをさ、あの人は敏感にね…」
本当に紅丸さんの感性が捉える本質には恐れ入るわ…
...
「…しかし、紅丸さんは紅組の少数精鋭方針を崩すつもりは全くなかった。いざという場面においては、実力行使を敢行できる実戦集団でないと意味ないと確信していたからね」
実戦集団か…
この辺りが南玉連合とは違う点よね
「となれば、巷の若い女をなりふり構わず加入する訳にはいかない。そうなると、必然的に少数グループを結成したレディースが続出するだろうという懸念がでてくる…。で、それはすぐに現実のものとなった…」
そう…、紅丸さんの懸念はすぐだったそうよ
それに…、今だって…
...
「…世間からは、あのアメリカ帰りの大女は女の暴走族をこの地に大量生産させてと、非難されてね。でもあの人、危険人物だって陰口叩かれても、どこ吹く風だったようだ(苦笑)」
「クスクス…」
「…その紅丸さんは常識にとらわれない人である一方で、現実的でもあるからさ。きっと、今の世の中ではこの流れは止まらないだろうと予測できたんだろう。…じゃあいっそ、そんな猛る少女たちの受け皿を用意して、さらに”モデルケース”を作っちゃっえってね」
「その受け皿が南玉連合なんですね!なるほど…、今の南玉連合は、ゆくゆくはこれからどんどん他県でも誕生するであろう、女の集団のあるべき理想像を担う使命がある訳か…」
「まさにそこさ。だから、その紅丸さんの意向を汲み取れたからこそ、黒原さんはあの時点で女性ライダーのセクションを抱え、堅実な組織運営を実践できていた土佐原さんの南玉連合に白羽の矢を立てたんだろう」
「はい…」
...
「…そして、土佐原さんもまた、紅丸さんのインテリジェンスを備えた熱意に感服されたそうでな。当然、メンバーからは強い抵抗があったが、黒原さんの協力も得て新たな男の集団を結成し、更に女性集団となった後も、南玉連合には後見役ポジションを有することを条件としてコトを収めた。…その結果、新集団は女性勢力となった南玉連合にも影響力を残す形態ができてね」
「それが、今のOB連の原型ってことですね!」
「そうだ。旧南玉連合の男の年長者が、いわば監査役みたいな形で女性集団の組織運営に関与する仕組みはさ、結果として、女子高校生の自主運営を補完する極めて有効な機能を果たすと‥。このことは、キミが良く承知してるはずだ」
「はい!」
「はは…、もっとも、もともとしっかりとした組織ガバナンスの地盤をさ、土佐原さんらが長きにわたって築いてきたことが、まずはあるったと思うよ。まあ自虐的だが、我々墨東会にはその辺が欠如してる。だから、最初に言った伏魔殿ってね…」
この人、何て謙虚なの
自虐的なほどよ…