とはいえ、このルーベン王国にも気安い人は一人もいない。

 かろうじて、国王陛下の十一番目の側妃と挨拶を交わすくらい。

 ちなみに、わたしは十二人いる側妃の内の十二番目である。

 どうせここからいなくなるんだし、ダメもとで尋ねてみよう。

 十一番目の側妃に、バーデン帝国の皇帝の人となりや皇族、それから帝国のことを尋ねてみた。

 すると、マーヤという名の十一番目の側妃は、頭がよくて気さくなレディであることがわかった。彼女の父親が外務卿の補佐官をしているらしく、バーデン帝国のことをよく知っているという。