「すまなかった。なんの恩返しも出来ないまま……。調べたかぎりでは、きみの母上と兄上たちの消息はつかめなかった。しかし、きみは生きている可能性があった。おれも傷が癒えた後、自分のことで手いっぱいだった。だから、きみの居場所を調べることが出来ない。しかし、誓ったんだ。どれだけかかろうとも、きみを捜しだすと。年齢が離れているから、さすがに妻にというわけにはいかない。しかし、せめて近くにいてもらって何不自由なくすごしてもらうのだ、と。だからこそ、最初の妻のときは彼女の態度はともかく、必要以上に関係を改善する必要がないと決めたのだ。ジークとシュッツには寂しい思いをさせてしまったが」

 ラインハルトは、わたしをそっと抱きしめてくれた。