しょせん、わたしはたらいまわしにされている亡国の王女。生まれ育った国は弱小国。自分でも言うのもなんだけど、わたしの血に価値などない。

 それでも、わたしの外見や内面が申し分がなく、頭がよくって空気を読めるのであれば、まだ置いてくれた国があったかもしれない。

 厳密には、国王や王太子、あるいは皇帝や皇太子が。もしくは公爵や将軍や宰相といった、上流貴族や階級の人たち。

 残念ながら、わたしはそうではない。

 黒髪で黒い瞳は、不吉の象徴だとどこでも嫌がられる。それ以外でも、ちんちくりんでメガネをかけている。「メガネザル」と呼ばれ、蔑みと嘲笑の的になる。自分を守る為に演じていることもるけれど、性格は最悪って思われている。それを言うなら、バカに見せているし、空気だって読まない。