「ゲオルク」

 そのとき、ラインハルトが低く鋭く呼んだ。

 ゲオルクがハッとわれに返った。

「妻の言う通りだ。長年に渡ってご苦労だった。残念ながら、最後まで義理の父親|だった(・・・)とは思えなかったが、宰相として君臨し続けたことは事実。今後は、領地に戻って余生をゆっくりすごすといい」

 ラインハルトのねぎらいの言葉は、周囲の人たちに感動を与えたみたい。

 周囲の人たちは、よりいっそう厳粛な感じで見守っている。