昔、自分の娘をラインハルトに嫁がせ、皇帝の座を狙っていたほどの野心家だったらしいけれど、少なくともいまはそんな野心家の気概はまったく感じられない。

 それどころか、引退後をまったりゆっくりすごしている老人のようにうかがえる。

「可愛らしいお嬢ちゃんだ」

 ゲオルクを紹介された後の彼の第一声がそれだった。

「背が低いが、なーに気にすることはない。これからどんどん伸びるだろう。カルシウムを多く含む食物を摂取すればいい」

 アドバイスまでしてくれた。