十日ほど前


「あー、だれだったかな?」
「チカ、でございます」
「チカだと? そうか、チカというのか。とりあえずチカ、おまえを離縁する。ああ、そんな悲しそうな顔をするな。心配しなくとも、ちゃんと再婚相手は見つけている。バーデン帝国の皇帝だ。さっさと荷物をまとめ、とっとと旅立て」

 久しぶりに、国王ヴァルター・プライスに呼ばれた。彼と顔を合わせたのも話しかけられたのも、わたしがなんとかという国からこの王宮にやって来たとき以来のような気がする。