「えっ? まさか、陛下がこの絵を?」
「下手の横好きってやつだ。こんな絵でよければ、宮殿の寝室にも飾ってある。侍女や執事たちが蔭で笑っているのはわかっているんだ」

 渋い美貌に苦笑が浮かんだ。

「しかし、せっかく描いたのだし自分の部屋に飾るのならさほど迷惑をかけることもないからね」
「ほんとうですか? 楽しみです。じつは毎日この絵を眺めていて、懐かしい気もしているのです。昔、この絵と同じような絵を観たような……。ただの気のせいですね。だって、わたしは絵心がまったくないのですから」