「彼女が死んで以降、おれは再婚を頑なに拒んでいる。だが、最近またうるさくなってきた。宰相は、ジークとシュッツが祖父である自分の思い通りにならないことを痛感したらしい。二人して意図的に反発しまくっているからな。それで、今度はまたおれの子種を利用し、他に皇子を儲けようと思いついたわけだ。おれの死んだ妻とは年齢の離れた妹を、おれに嫁がせようと躍起になっている。当然、断ってはいるが。その妹というのが、父親にそっくりでな。いや、父親以上に野心的で嫌な性格をしている。まだ姉の方が可愛く思えるほどだ。『結婚しろ、しろ』と連日責められるのにはうんざりしている。しかも、いろいろな意味でや問題がある。男癖は姉以上だし、酒癖も悪い。つまり、野心的な上に素行も最悪というわけだ」