彼は、しあわせそうな表情になっている。

 ジークとシュッツを見ると、二人とも涙ぐんでいる。

 素敵だわ。母親のことはともかく、父親はこんなに想ってくれているのだから。

 亡くなったわたしの両親は、二人でわたしを慈しみ育ててくれたに違いない。

 残念なことに、わたしはそのことを覚えていない。