「彼女は、ジークとシュッツを産んだ後いっさい彼らに関わろうとしなかった。『皇子を産みさえすれば、自分の役目は終わった。これからは、思うようにすごすわ。離縁されようとどうされようとかまうものですか』彼女は、そう公言してはばからなかった。そして、堂々と浮気をするようになった。彼らのことは、おれの育ての親である伯爵家の縁者の乳母とおれとで面倒をみた。粗暴なおれでも、赤ん坊が愛おしくてならない。毎日、彼らとすごすひとときがしあわせだった」