『私、横田くんのこと好きかもしれない。』

あの日からずっと考えてた。
私はあの時なんて言えばよかったのか。なんていうのが正解だったのか。
いまだに答えはわからない。
「私も好きだから応援できない」
そう言うのが正解だったのかな。
そんなことを考えながら1人で学校に向かう。

「葵!おはよ!」
「結衣、おはよう」
「教室一緒に行こー!」
「ごめん、職員室寄らなきゃいけないんだ。」
そうウソをついて結衣を避けた。
結衣が傷つかないように。

「あおー。おはよ」
私のことを「あお」と呼んでくるのは彼だけ。
春翔は上機嫌の時だけ私のことを「あお」と呼ぶ。
「おはよ」
素っ気なく返事をして春翔と距離を置こうとした。
「おい、どした?元気ない?」
そう言って腕を掴まれた。
「いや別に。」
今の言い方は流石にやりすぎた。言った自分でも自覚はあった。
「あっそ。」

やってしまった。
結衣を応援するって言ってどうすれば良いかわからなくなった結果、春翔と気まずくなってしまった。
どうしよう。どうすればよかったの…?

春翔と気まずいまま放課後になった。
いつもなら「バイバイ」って言ってくれる春翔が今日は言ってくれなかった。
そりゃそうか。