「あのね、葵。」
そう言って結衣は私を呼んだ。
結衣の声は優しく、天使のようだった。
「私のことなんて気にしなくて良いんだからね。」
あぁ、やっぱり結衣は優しい。
私はこんな純粋な子を傷つけて、突き放したんだ。
「結衣、ごめん。ごめんなさい…
春翔を好きじゃないってウソついて。
結衣を傷つけて…」

「ほんとにね!笑」
そう言って結衣は笑った。
「ほら、春翔くんのところ行ってきな!」
「結衣…ごめんね!」
「もうごめんはいい!そこはありがとうでしょ!次ごめんって言ったらなんか奢ってもらうから!」
結衣はこんな時でも私を元気にしてくれる。

「結衣…ありがとう‼︎大好きだよ!」
「私もだよ!」

私は結衣の方を振り返らずに全力で走った。