あの日から2人とは全く話していない。
むしろ話さない方が楽で良い。

でも…
まだ一つやらないといけないことがある。
結衣と春翔をくっつけること。
無理矢理だって思うけど、こうでもしないと私は春翔を忘れられない。

だから、私は私の思うままにする。

「春翔」
あの日ぶりに呼んだ名前。
なんか変な感じがした。
「話があるの。」

私たちは立ち入り禁止の屋上に入った。
「ねぇ春翔。まだ私のこと好き?」
「…んなのわかんねぇーよ。」
「そっか。じゃあ嫌いになってよ。」
「は?なに言っ…」
春翔のネクタイを引っ張って無理矢理口づける。
好きな人とのキスなはずなのに、全くドキドキしない。
ズキズキと痛むばかりだ。
重なった唇からはなんの温もりも感じない。
冷たい。冷たいよ。

「……」
そっと唇を離す。
後ずさって下を向く。
春翔をみると涙が出そうで怖かった。
「なんで…なんでこんなことしたんだよ。」
「嫌われたかったから。」
春翔が傷ついた顔をしたのがわかる。
ズキッ
傷つけてごめんなさい。
もう幼馴染にも戻れない。

私の初恋
12年間好きになれてよかった。
バイバイ。私の愛しい人。