「あなた、異常だわっ。人のこと根掘り葉掘り聞いて、子供や夫に近づいて、ゴミまで漁って!どういうつもりなのっ!」

「あはは。そんなに怒らないでよ。あなた達家族が、心配で、何となく気になるのよ」

「心配して頂かなくて結構よ!大体、何となくで、こんな事するの、どうかしてるわっ!」

「あら、里奈さんこそ。はっきりとした理由もないのに、何となく、私を攻撃しないでいただきたいわ。私は、ただ、お向かいさんとして仲良くしたいだけなのに」

「もう、私達に関わらないで!これも要りません!」

私は、紙袋を、美穂子に押し付けると、玄関扉を乱暴に閉めて、すぐに鍵をかけた。覗き穴から見ていると、美穂子は、暫く玄関扉の前に立っていたが、背中を向けると、美穂子は、白いワンピースを揺らしながら、向かいの家へ向かって響いていく。

ーーーー異常だ。

他人のゴミを漁るなんて、まともじゃない。あの異常な行動、美穂子の夫も子供も、何も思わないのだろうか?


私は、座り込んでいた玄関先から立ち上がると、パソコンの電源を入れた。

東山街(ひがしやままち)沼田村(ぬまたむら) 杉原美穂子』 
で、検索をかけて見るが、東山街 沼田村の情報しか出てこない。

『東山街 沼田村 杉原春人』で、再び検索をかける。

ーーーー私は、口元を覆った。