「お母さん、大丈夫?」

「……あ、奏和。ありがとう」


 完全に弱ってしまったお母さんは、今寝込んでいる。

 あの日、お父さんが危篤状態なんだと連絡を受けた日。私が病院に到着してすぐそのまま息を引き取ってしまった。両親は、大恋愛したらしく亡くなる前日までラブラブな様子だったらしいし、無理もない。


「和弘さんも、和弘(かずひろ)さんよね……子供を助けて死んじゃったなんて」

「本当にね、お父さんらしいけど……」

「うん、そうね」


 お母さんがお父さんに対して文句ばかり言っていると弟の和樹(かずき)が部屋に入ってきた。