しかし…。


「チッ」


深波の舌打ちが耳に入る。


え、舌打ち?


あたしは疑問に思い、ゆっくりと目を開けた。


………は?


目の前は、深波ではなく。


何か白い物体。


これが教科書だということに気付くのには、しばらく時間が必要だった。


え、でも何で?

あたしはチラッと右の方向を見ると。


あたしの愛しい蓮がいた。


つまり…。


あたしは普段使わない頭をフル回転させる。


深波に強引にキスされそうになった瞬間、あたしと深波の間に教科書を挟んでキスを塞いだのが蓮ってなワケか。


わああ。

マイダーリン、さすが。


でも蓮は一向にあたしを見ず、どこかを睨んでいた。