* *
それからもずっとアノヒトが忘れられなかった。
入学式が終わり、新しい教室にあたしは入る。
その教室は今までの教室とは全く違って、とても新鮮だった。
「はあ…」
教室にはまだ誰もいなくて、あたし一人だけだった。
何で…、みんないないのだろう…。
首を傾げながら、あたしは自分の名前が記されてある机に鞄を置いた。
静かな教室とは対照的に、廊下は騒々しい。
そんなとき、あたしはまたアノヒトと会ってしまった。
「ねえ、童貞ってどう思う?」
「はい?」
突然聞こえた声と、言葉に驚いて無意識に声が出てしまう。
しかし、教室から聞こえたはずなのに、誰もいない。
「最近の男共はおかしいよね。セックスしなきゃあ、男の恥とかワケの分からないことを言ってさあ。ヤッたらヤッたでさあ、自慢してくるしさあ。正直うざいと思わないか?」
あたしが全く理解ができず、頭の思考回路は停止する。
そんなあたしに姿を現した、少年。
あたしはその少年を見て、さらに絶句した。
アノヒトだ……。