だけど。
返ってきた言葉は明らかに蓮ではなかった。
「でもさぁ如月ってさぁ、早生まれだからまだ17じゃねぇ?結婚できる年齢じゃないよ」
…………
あたしと蓮は顔を見合わせた。
そしてゆっくりと視線をずらしていく…。
「…わっ」
「……ひぃ…ッ」
蓮が悲鳴にも似たような声を出して後ずさりする。
「はぁ?そんな脅えなくてもよくない?」
はぁ、とため息をつきながら蓮の隣に座るのはあたしの幼なじみでもあり、一人のライバルでもある深波。
…蓮に恋する純粋な男の子だ。
彼もまた確実に報われない恋に陥っている中、自暴自棄になっていた一人だ。
現在は何かを決意し、全ての女の子と縁を切って蓮一筋にしたらしい。
蓮は深波に唇を奪われた事件以来、深波を脅えるようになった。
「深波…、今ね、あたしが人生最大のプロポーズしてたの。どっか行って」
「えー、外寒いし、ここ満員だし。無理だね」
いつも、そう。
コイツはいつも見張ってるかのように、甘いムードの真っ只中に現れる。
「如月って、如月だけに2月生まれかと思ったら実は弥生生まれなんだよね」
深波が訳の分からない事言い出した。