予想通りだったら…
泣くよ…?
蓮は辺りをキョロキョロ見た後、あたしにもう一度視線を向けた。
そしてあたしの左手を汗ばんだ手で掴むと、蓮は深く深呼吸をする。
そしてゆっくりと、あたしの薬指に1つの指輪をはめていく。
あまりの驚きにあたしは顔を上げて蓮を見た。
「あああぁー!無理!こんなん、恥ずすぎる!」
蓮らしくないおたけびをあげた。
「…蓮、だめだって…ッ。こんな事されちゃあ、泣いちゃうって」
愛し、愛され…。
この関係がいつまでも続くように、と…。
蓮には、誰にも見えない傷がある。
埋めても、埋めても、必ず露になる傷…。
中学の時の蓮には確かに"光"が存在しなかった。
彼は闇の果てにただ孤独で生きていた。
…生きる意味さえ、知らずに。
ただ、生きていた。
そして、あたしも。