蓮はただ話を続ける。


「…最後の同点まで登りつめたとき、俺は優とは違ってあんた等のチームを応援してたよ」


「…なんで?」


蓮は困った顔をして、笑った。


「……さぁ。でも今なら言えるよ。羨ましかったから」


「羨ましい…」


「最初であんなに点数取られたのに、それでもめげずに頑張ってるアンタ等が羨ましかった」


……蓮。


「まぁ、最後は結局1点差で負けてたけど。」


ハハッと笑って蓮は水を飲む。


「あの時、雪のチームみんな狂った様に泣いていた」


それは、そうだよ。


特にあたし達3年生は、引退するから最後の大会だったんだもの。


「だけど…」


蓮は凛とした瞳であたしを見つめた。



「…雪だけは違った」


…どういう事?


「雪だけは泣かなかった。絶対に」


そうだ。


あたしは泣いていない。


ただみんなを慰めていただけだ。