「……中学の頃も言っていた。」


蓮がボソッと言った。


…中学…。


だんだん蓮の過去が露になっている中、このキーワードだけはまだ謎に包まれたままだ。


「ねぇ、蓮。何で蓮は中学の頃からあたしを知っていたの?」


「……」


蓮はあたしから視線を逸らして、しばらく黙っていた。


そしてゆっくりと顔を上げる。


「中学3年の夏頃さ、お前夏季中体連で逆転負けしたろ」


夏季…中体連。


あの日の記憶が鮮明に蘇ってくる。


2年前、あたしがバレーボール部の部長だったとき、決勝まで登りつめたというのに最後の最後で点を入れられ、負けた時だ。


「…したけど。それが?」


繋がりがなかなか見えない。


「あの日…、俺実はギャラリーで見てた」


「えぇ!?」


嘘だ。

あの日…からあたしを見ていたの!?


「つか、相手チームの部長が優の当時の彼女だったんだよね。それで強制的に連れてこられた」


……相手チームの部長…。


あの170は軽く超えてそうな女か。


「……最初はただ嫌々見てたんだけど、あまりの戦いの激しさに俺も釘付けになった」