…全然、分からない。


何故、お母さんが笑っているのか。

何故、蓮がトイレに駆け込むのか。


うーん…。


「ま、少なくとも今、トイレで冷静を保っているのは見えてるわね」


「……はぁ」


お母さんの言っている事がやっぱり全く分からない。



「少し、意地悪しすぎたかな?」

お母さんが、今頃後悔している様子…。


一応、自覚はあったのね。

酷い事したって事…。


「でも蓮が、不器用な子ってのは私が一番知っているのよ」


ハハッと笑って、あたしを見る。


「あっ、あ、そうですよね。さっきはすいません」


そうだ。

お母さんは蓮を17年間見てきているんだ。

あたしなんて、まだ2年なのに…。


偉そうな態度取ったかも…。


「雪ちゃんって、何か蓮とダブるのよねー」


蓮のお母さんはあたしをマジマジと見つめて、何かを見透かそうとしている。


あたしと蓮がダブってる……?


それは何を指しているのだろうか。


「雪ちゃんって、本当の感情…表に出さないでしょ」


……どういう事?

あたしはお箸をくわえたまま、硬直した。