だって、一目惚れしてわずか2時間くらいで告ったんだもの。
それって最初は、顔だけで判断したって事だよね。
今はもちろん、内面も好きだけど。
「やっぱりね。性格なんて、もう最悪よね。雪ちゃん、別れたかったら別れてもいいのよ」
……お母さん…。
自分の子供、苛め過ぎだよ…。
蓮はわざとらしく鍋に突く音を大きくして、黙々と食事を進める手をはやめる。
「でも、蓮は優しいですよ。あたしの事を一番に考えてくれてるし…。冷めた言葉とかも言うけれど、それは彼が不器用だからであって…。蓮の不器用な愛情…、あたしは好きですけどね」
うん、コレは本当。
素直だったら、逆に…、嫌かも。
蓮は鍋に箸を入れたまま、そのまま硬直。
「やべ…ッ、俺トイレ」
箸を投げて、蓮は顔を見られないようにしてトイレに駆け込んだ。
………?
「蓮兄、我慢してたのかなぁ?」
央ちゃんが首を傾げる。
「雪ちゃんが、可愛い事言うからよ」
「へ?」
…可愛い事?
あたしも首をかしげ、鍋の中に浮いている蓮の箸をただただ見つめていた。
「あたし…何か可愛い事言いましたっけ?」