「2人で食ってろよ。俺らを巻き込むな」



……ていうか、腹減った。


もう、ここで食べたい……。


あたしの腹は、鳴きやむことを知らないようだ。


「嫌だ、嫌だ、嫌だぁ!!食べようよー。雪ちゃん!今日は雪ちゃんの大好きな松坂牛よ!?」

……えっ!?


あたしの目がキラキラと輝き始める。


「だから、何なんだよ」

「食べる!!食べていいんですか!?」


あたしと蓮の声がハモる。


その瞬間、蓮はあたしを見ては驚きを隠せない様子。


松坂牛って!!


超、高級じゃん!

何でそんなものが蓮のお家に!?


あれ…、でも。


「お母さん、あたし…肉好きって言いましたっけ?」

あたしが首を傾げると、蓮のお母さんはニッコリと微笑んだ。


そして、あたしを指す。

「その手足にほどよく付いた筋肉。これは肉好きの証拠ね」


何という…。

あたしの頭に何か尖ったものが貫通した様な気がする。


それほど、今の言葉は痛かった……。


あたしの顔は自分でも分かるくらい、歪む。