それにバレーやっていたせいでついた足、腕の筋肉や、若干割れ気味の腹は"男らしさ"を強調している。


今となっては、全く必要のないものだ。


「蓮は……」


蓮はその身体で一体、何人の女の子を虜にさせたのだろう。


ふと、嫌な妄想が頭の中を支配した。


「わーーー」


必死に声をあげて、頭を現実に戻す。


「……変なヤツ」


蓮はあたしを見ながら、笑った。



「俺、準備できたけど。行く?」


「えっ、速!あたし、これで大丈夫かな?」


朝、簡単に済ませたメイクも、多分寝たせいでボロボロ…。


「今更…。お前が化粧しても、落書きにしか…ッ!」


ドンッ!


蓮はまた酷い事を言おうとしたので、言い終わる前にあたしは蓮の腹を蹴り上げた。


「……落書き、だぁ?」

「冗談だって……」


蓮は軽く乱れた息を整えて、何事もなかったかのように立ち上がった。


最近、蓮はあたしの殴りに、痛みを感じなくなっているみたい。


悔しい……。


「この女慣れ野朗!」

あたしは蓮の肩をバシッと叩いた。