……って、ちょっと待ってよ。
あたし…一人になったじゃないの。
どうすればいいの。
とりあえず、蓮の部屋にいとこうかな。
あたしは階段を登って、蓮の部屋のドアを開いた。
さっきと変わらないモノトーンで統一された部屋。
ベッドに寝るとやっぱり時間が経っているせいもあってか、蓮の温もりが消えていた。
「わぁー…、努力家。」
ベッドから天井を見上げると、天井にはあたしの読めない漢字がずっしり並んだ紙が貼られてあった。
……あたしは、好きな芸能人のポスターしか貼らないのに。
蓮って、元から頭が良いわけじゃないんだ。
毎日…、努力しているんだ…。
昔も、今も。
過去は、絶対に、消えない。
戻ることも、できない。
過去の過ちは、償っても満たされない。
だから、蓮はひたすら前に歩いているんだ。
……本当、えらいなぁ。
いつまでもネチネチしているあたしとは大違いだ。
ベッドに散らばる雑誌を拾い上げ、あたしはゆっくりとページを捲っていく。
ファッション雑誌か。
それだけじゃない、バイクの雑誌とかもある。
勉強面以外でも頑張ってるんだね。
ベッドの下の雑誌は絶対に見ないけど。