「俺はまだ新人教師だが、衝撃によって変わっていく奴らはたくさん見てきた。」
「衝撃……」
何度も繰り返される言葉をあたしは口にした。
「俺は…如月の場合、恋が衝撃を与えたんだと思う。」
……恋。
あたしの拳に力が入った。
「予想なんだけどね。多分お前が大きな存在になっているんじゃないか」
「えっ」
「何か心当たり…あるか?」
……ないと、思う。
「でもあたし中学時代の蓮なんて分からないんです。本人は、中学の頃にあたしに惚れたって言ってるけど…」
「やっぱりな。」
先生は煙草を灰皿に押し付けた。
「お前は確かスポーツ推薦でこの高校来たんだよな。だってお前の成績ではこの高校不利だもんな」
先生の言葉に、あたしは頭が突き刺されたように痛くなった。
…失礼だな。
「お前に惚れた如月は、すごかったよ。恋の力は侮れないってマジなんだと思った」
「ど、どんな風に?」
「悪友と縁切って、学校にもちゃんと行くようになったし。勉強にも積極的に励んでいった。きっと、お前と同じ高校に進学するために」
「……すごい」
「だめだといわれていた高校進学も、この通り無事合格」