「如月は関東どころか、関西、九州まで名が売れていた不良なんだ。」
…つまり。
それ程強かったわけだ。
「色々暴走族とかの勧誘もあったらしいが、全て断っていたらしい。」
先生はあたしの顔をチラッと伺い、煙草を取り出した。
あたしはどうぞと言うように、うなずく。
「先生からも、高校進学は諦めろって言われていたんだ」
………あんなに、頭が良いのに。
「でも何を思ったのか、中3の夏頃だったかなぁ…。突然、金色に近かった茶髪が黒髪になっていたよ」
ハハッと笑いながら、煙草をくわえる。
「……それから、アイツは突然真面目になったよ」
「…そんな簡単に、真面目になれるものなの?」
先生はあたしの言葉に少し考える。
「そんなコトはないだろう。第一、アイツの存在はアッチの世界では相当大きかったらしいからな」
先生は、一息ついてまた喋り始めた。
「…俺は、何か衝撃があったんだと思う。」
「衝撃…?」
あたしは首をかしげた。
衝撃……
どこかで聞いた覚えが…。
「人って衝撃があれば、変わる事がある。特に若ければ若い程衝撃と出会うきっかけは増える」
先生は、静かに言った。