「……うーん…、多分…」


あたしは曖昧に答えた。


「うっわ…。マジかよ、ありえねー」


蓮は頭を激しく掻きながら、顔を隠すようにして俯いた。


「南さんって、顔だけ良いですからね。言葉攻めで世の男性落とせますよ」


何を思ったのか突然エリ子が、言う。


顔だけって……。


「それは、アンタでしょ」


「あはっ、そうですね」


どうやら彼女は自分の性格が酷いと意識している様子。


だって、人の彼氏に抱きつくからね。


「じゃぁ、如月、雪村を頼む」

「面倒…」


ふてくされる蓮の耳に先生は口を近付け、何かを囁いた。


……何て言ったんだろ。


蓮は目を大きくさせて、口をパクパクさせた。


そして、その顔はとても尋常じゃないくらいに真っ赤。


「……ッ!!お前……ッ!!」


「ハハッ、好都合の話じゃないか。」


先生が、蓮の背中を叩きながら笑う。


蓮は唇を尖がらせて、人差し指で軽く頭を掻いた。


先生はまた一樹とエリ子の前に戻り、補習を再開。


「ねぇ、蓮。先生に何て言われたの?」


「言わない」