「……ッ、別に逃げてるってわけじゃないし」


蓮の語尾が小さくなる。


これは、どういう事?


図星ってこと…?



「じゃぁ、どこに誰と行くの?クリスマスに彼女を家において」

「………」


蓮は何も答えない。


あたしは、まだまだ演技を続ける。


「……どこにも、行かないで…?あたしに、教えて?」


蓮は何も言わず、ゴクリと喉を動かす。



蓮は抱きつくエリ子の腕を無理矢理自分の腰から外し、あたしの元へとゆっくりと近付いた。


「……わ、分かったよ…」


そう言うと、あたしの向かいの席に腰をおろした。


「……すげぇ。あの蓮を納得させた…」


優が、驚きの表情を見せながら静かにそういった。



「……雪村…、お前女優になれるぞ…」

先生でさえ、あたしの演技を褒めてくれる。


でも演技のつもりだったけど、半分本気が入っていたのかもしれない。


気付けば、感情があたしの心の中にあったから。


「……女優?…お前ッ!演技だったのかよ!?」


蓮は先生の言葉に反応して、やっと気付いた様子。


……やっぱり本気にしていたか。