「やめろ、アホ!!」
蓮は抱きつくエリ子を、どかすように身体を必死に動かす。
「何でですかぁ!?あたしと如月君の仲じゃないですかぁ…!」
「何の仲だよ…ッ!?」
整えてきたのか、茶色く染まった髪がいつもと同じ髪型になっていた。
ただ、若干、はねている部分を除けば…。
「如月君はあたしだけの先生ですよ?こっちです!!」
エリ子は蓮の前では、態度がかなり変わる。
これがまさに恋する女の子なんだろう。
「ざけんなよ…ッ!俺は朝飯食いに来ただけだ!!お前の勉強見てる暇なんてない!食ったらすぐ出かける!!」
蓮の言葉にあたしは正直、驚きを隠せなかった。
クリスマスに彼女を置いて、どこに出かけるの…?
「ハァ?昨日言ったよな、如月。こいつ等の面倒見ろって」
「俺は、頷いていない」
蓮の腰に抱きつくエリ子を無視して、蓮は先生を睨んだ。
「……ハァ」
もう何回、先生はため息を漏らしたのだろうか。
そう思っていたら、先生と目がバチッとあった。
「雪村、行け」
先生は顎で蓮を示しながら、舌をペロッと出した。
……あたしが、蓮に説得しろと?
無理でしょ、本気でキレられたらどうするの。