……勝利、なはずなのに。


あたしの後頭部にすごい痛みが走った。


……痛いッ。

後ろから殴られた…ぁ。


「ちょっと!!誰よ!?」


殴られたトコを押さえて、涙目になりながら後ろを振り向いた。



「……人の彼氏をまた半殺しにしやがって……。いい加減限度を知ったらどうなの?」


そこには、マフラーを鼻まで巻いている千明の姿があった。


……正直、女は殴れない。


下手に怪我させて、退学されちゃぁ困る。



だから今にでも飛び掛りそうな拳を無理矢理、おさえつけた。


「つか、何で千明がこんなとこにいるわけ?あんたは、悪くないでしょ?」


千明は、蓮のように特別に頭が良いというわけでもなければ、優のようにかなり悪いというわけでもない。


中の上だ。



「はぁ?恋人がクリスマスに補習だよ?他に誰と過ごすってのよ。ねぇ?」


優は千明の言葉に、突然立ち上がり満面の笑みをこぼしながら頷く。


……このバカップルめ。


いつの間にか付き合ってたくせに!!


「はいはい、そーですかー」


バカップルは適当に流して良し。