「雪ィ?あ、雪村ね。当たり前だろ」
その言葉を聞いた途端、蓮は希望を失った。
……当たり前って…
少しは躊躇えよ。
「無理…!!工藤、無理だってば!!」
蓮は工藤の首を掴み、グラグラと揺らす。
「はぁ!?お前等、付き合って2年目だろ?去年も一緒に過ごしてるんだから今年ぐらい…」
「去年は俺がインフルエンザで、どこにもいけなかったんだよ!!」
……嫌だ。
「知らねぇよ。予防接種受けなかった如月が悪い」
蓮は、言葉を失った。
工藤の言っているコトが、全て正しくて何も言い返せない。
「だ…ッ、大体、工藤はあのNYの彼女と過ごせよ!!」
「な…ッ!!馬鹿!こんなトコで言うな、みっともない」
工藤は、慌てて蓮の口を塞ぐ。
「俺の彼女が帰ってくるのは、クリスマスの夜だ。その次の日にデートする」
「…チッ、自分が暇だからって生徒と過ごすのかよ、ありえねー」
蓮は自分勝手な担任に、嫌気がさした。
こんなの、教師以前に頭がおかしい。
蓮の怒りが当々爆発を迎え、言い返そうとした時…。
「あーッ、蓮こんなとこにいたんだぁ」
愛しい声が聞こえ、一瞬にして怒りが消えてしまった。