* *


「明日ぁ!?」


職員室に蓮の叫び声が一瞬にして大きく響く。


そして周りにいた教師達が、冷たい視線を蓮に送った。


蓮は自分の過ちに気付き、慌てて口を塞ぐ。


「……お前、声がでかいんだよ」


工藤…つまり蓮と南のクラスの担任が呆れ顔を見せる。


「……待てよ、工藤。明日、クリスマスだぜ?」

「先生を呼び捨てにするな」


蓮の額からは、暑くもない季節なのに汗が見える。


「なぁ、明後日はダメなのか?」

「明後日は俺ができないって事は如月がよく知ってるだろ」


蓮の口が止まる。


「明日は、クリスマスだろ?クリスマスに"補習"だなんて、どんな教師だよ」

「こんな教師だよ」


工藤は口元をつりあげ、開き直ったように余裕の笑みを零した。


「それに大体、如月の成績は学年一位だろ?補習でそんなビビんねぇだろ」


確かにそうだ。

蓮は全国模試で、全国一位という優秀な成績を納めている。


こんな生徒が補習で、ビビるなんてまずありえない。


しかし、蓮は自分の事が心配なのではなかった。


一番の問題は……


「……補習受ける生徒に、雪は入ってたりする?」


蓮の鼓動が、身体全身に強く響いた。