「マジ…、だよ」


蓮の切ない声に、目の奥が熱くなる。


「……俺が…、誰だか分かってんの?」


「……、分かってるよ」


目の前にいる蓮が、蓮じゃないようで。


「……俺、如月…蓮だよ…?」


「知ってるよ、それくらい。馬鹿にしないでよ」


……なんでだろう。

蓮がいるだけで、こんなにも心が温まる。


「……、俺の事…嫌いなんじゃないの…?」


「…………。」


…、あたし…。


ずっと前、蓮に"嫌い"って強くぶつけたんだっけ。


「…俺の近くに来るなよ…」


蓮の切ない声だけが、あたしの胸に響いた。


「……ど、して?」


来るなと言われて、あたしの胸は強く痛んだ。


でもあたしは蓮にそれ以上の言葉…。


嫌い


って言ってしまったんだ。