負けたのは、全てあたしのせい。
……本当、最低だ。
そう思っていた時。
「あんたのせいだけじゃ、ないよ」
突然、あたしの心を察したかのような一言が耳に届いた。
反射的に勢いよく振り向いた。
そして、慌てて頬を伝う涙を拭う。
あたしの後ろにいた人物…。
不良…、少年。
この公園でよく喧嘩している中学生の一人だ。
金にはるかに近い茶髪に、ピアス。
こいつは、強いから素人のあたしでさえ、分かる。
「……あっ」
……困るよ。
何で、話しかけるの。
それに、あたし、今、泣いてるし。
「俺は、あんたが、羨ましいよ」
不良少年はそれだけ言うと、暗闇の世界へと走っていき、消えた。
意味が分からなかった。
でも…
たった一言だけど、あたしは彼の言葉で立ち上がれたんだ。