* *


「……ん、もう…ッ!」


電話の向こうでずっと続く…機械音。

蓮が電話に出ない。


時刻は、もう19時。


今日…告白しないと。

あたしは…。

そっと目を閉じる。


蓮……。

愛……

「あーーっ!!いたー…ッ!!」


突然聞こえたうるさい声。


その声に身体が反応して、後ろを振り向いた。


そこには、見覚えのある顔があった。

……けど。


「え、誰…?」


名前と顔が一致しない。


あたしがそう言うと、目の前にいる小さい女子高生は顔を歪める。


「何で…?覚えてないんですかぁ!?」

……、ハイ。

あたしは戸惑いながら、頷いた。


「花坂です。2年の花坂エリです」


彼女はそう言うと、ピースサインをあたしに送った。