「雪…村?」

一樹は南を見たまま、そう呟いた。



多分、変わり果てた南の顔に言葉が出ないのだろう。

さっき、深波に傷つけられた痕。


そこからは、血が流れていて。

その血は止まることを知らない。


蓮の身体も、

優の身体も、

南の身体も、

そして

深波の身体にも

限界は頂点に達していた。


「な…、何で…ッ?」


一樹は教室をぐるっと一周見渡して、今度は蓮に視線を向けた。


「何で、守らなかったの?」


一樹は冷たい視線を送ってくる。


……守る?


…俺には、そんな資格…ない。


「俺は、こんな酷くまでさせない」


そう言い切った一樹に心底腹が立つ。


でも今、一番心底腹が立つのは、自分。