「あぶね…」

上を見上げると、片目だけを瞑っている蓮の姿があった。

蓮の長い腕は、あたしの腹を支えていた。


あたしを、助けてくれたのは、あの蓮…だった。



「蓮……」


あまりの格好よさに、思わず見とれてしまう。


「大丈夫か?」

心配そうにあたしと目線を合わせてくれる蓮。


本人は、気付かないようだが…距離がものすごい近い。


突然すぎて、あたしは何も考えずに蓮を押して離れる。


本当は嬉しいはずなのに…


何でだろう…。


心が晴れない。

ずっと黒い影が隅に居座っている。


あたし…

やっぱり、蓮のこと…。


好き


って思わなくなったのかもしれない。