『…………』


沈黙。


仕方ない。


これくらい予想してた。


あたしはゆっくりと立ち上がった。


深波は、あたしを見ては楽しんでいる。

でもそんなの気にしなかった。


「そこ、あたしの家と正反対だよね?しかも、向かう場所はラブホ?」


『…ッ、違う!!』


蓮は声をはりあげる。


電話だけではなく、別の方向からも同じ声が聞こえる。


「はあ!?何が違うのよ!?あたしが嫌いなら、嫌いって言って、さっさと振ってよ!」


あたしも蓮に負けないくらい大声を出して叫んだ。

そして蓮と一瞬にして目が合った。


怖い…。

あたしは後ろを振り返って、そのまま走り出した。

強引に、電話を切って。


男なんて…嫌い。

男なんて…信じられない。



蓮も、嫌い。




蓮なんて、信じられない…