「ホレ見ろ。あいつ等今、ラブホ街向かってるよ?あんただって、利用されている女の一人なんだよ」
深波が口調を変えず、淡々とそう言った。
違う……。
蓮はそんな人じゃない…。
そう思っていた…
のに。
そう思っていたのに…。
今のあたしは完全に蓮を疑っている。
何で…?
あたしがいつまでも身体を委ねないから?
あたしじゃ…物足りないから?
……もう、あたしの事飽きた?
あたしは震える右手を左手で押さえながら、携帯をゆっくりと操作する。
…確認、取るために。
ずっと携帯の向こうでは、機械音が流れ続ける。
それと比例するかのように、不安だけが募りゆく。
先に見える2つのシルエットが、離れていく。
蓮の携帯が鳴っているからだろう。
『…もしもし?』