「ねえ?」

突然、耳元で囁かれた。


「うぇ…」


吹きかかった息に思わず、吐き気が襲う。


「何だあ?その反応」

このふわふわした掴みようのない声。

その声の持ち主は、アイツしかいない。


……相沢深波。


「何よ。」


目線を逸らしながら、軽く舌打ちをした。


「みいちゃんさあ?この前、デートするってからさずっとしてくれないよね?」

「そんな約束しましたっけ?」


きっと、前回教科書のページ数を教えてくれたからお礼をしてと言いたいのだろう。

でもあたしには、蓮がいるし…。

絶対、嫌。



「ふーん…。彼氏意外とは遊ばないってわけね。でもねえ…。彼氏さんはみいちゃん以外とも遊んでいるのにね?」


………は?

あたしは深波の言葉に敏感に反応を示した。