* *
「蓮…ッ!?」
あたしは膝に手をついて、ゆっくりと息を整えた。
とりあえず、校門をくぐり抜けて、校外に出たものの…。
蓮はいない。
あたしが蓮に電話をかけようと携帯を手に持ったとき…。
ガシッ
あたしの携帯を持つ手は一瞬にして、自由を奪われた。
「………!?」
「やほお。みいちゃん?」
上を見上げると、意味ありげに笑う深波の姿が目に入った。
あたしの手の自由を奪っているのも、深波。
最近はおとなしくなったと思ったのに…。
「今度は、何よ…?」
ギロッと目を光らせ、あたしは深波を睨む。
しかし深波は、一歩も譲らない。
「行かせない」
深波はさっきまでの笑いはなくなり、真剣な表情になる。