またもやあたしの怒りは、激しさを増す。


「ん…ッぐ…ッ!!」


息ができなくなり、あたしは塞ぐ手を思いきり叩く。


「―っい…」


後ろから短い声がして、その瞬間あたしの口は自由を取り戻した。


あたしは息を整えて、後ろを勢いよく振り返る。


「ちょっと…!!……あ。」


後ろにいたのは、目を細めている蓮だった。


「このどアホ。空気の1つや2つくらい読めよ」

「だって……!」


あたしは蓮の顔を見上げる。


「だってじゃない。自分の怒りだけを頼りにするな。もっと人の気持ちも考えろ。」


蓮はあたしの言葉を遮り、低い声でそう言った。

さすがのあたしでも蓮の低い声には、何も言えない…。


しかも蓮の言葉、正しい…。


「とりあえず俺と優は今日、学校早退する…予定なんだが、コイツの家も俺の家も親がいる…。」


「え、何で早退するの?」


あたしは、話の内容が全く掴めない。