「うわ…。すごい…」
何発も放たれる、空に描かれた花火。
毎年、この祭りには参加しているのに…。
だからいつもこの花火は何度も見てきているのに…。
何でだろう。
とても綺麗に見える……。
「すげえだろ?ここ、一番の穴場だぜ?」
蓮が花火を指しながら、そう言った。
「ここでさあ…花火をお前と見たかった」
花火を見上げながら、蓮は静かに言った。
蓮の顔は、花火のせいなのかわからないけど真っ赤に見えた。
「え…ッ、つか、蓮ってそんなロマンチックな人だっけ…?」
恥ずかしさを紛らわすために、あたしはそう言った。
そんなあたしを蓮は横目で睨む。
「うるさい。黙れ、馬鹿」
「馬鹿って!!」
あたしは蓮の背中を思いきり、叩いた。