「まあ…逃げるのはよくねえけど…。ソイツがいないと、お前、この世にいなかったじゃん」


………。


……今まで、そんなこと思ったことなかった。


確かに、そうだ。

あの人がいなければ、あたしはこの世に存在しないんだ…。


「だから俺はお前の親父さんが、お前のお袋さんと出逢ってくれた事…、そしてお前を誕生させてくれた事…に感謝する」


蓮は照れているのか、鼻に軽く触れた。


そっか……。


あの人がいなければ…、蓮と出会うこともなかったんだ…。


こんなに幸せっていう気持ち、知らなかったかもしれない。


お互いが想い合うことがこんなに、嬉しいなんて知らなかったかもしれない…。




そう思ってくると、なぜか自然に怒りが沈んでいく。


「蓮…、あんた…。そんなにあたしの事好きなんだね…。」


蓮の言葉に感動しすぎて、涙がさらに溢れ出る。


「……は…、な…ッ!そんなんじゃねえし!!」