「あたし……、望まれた子じゃないんだよね…」
震えた唇で、そう静かに言った。
蓮の顔なんて、見られない。
「は…?ど、どういう意味?」
蓮はあたしを握る手の力を強める。
きっとあたしと同じ様に、不安なのだろう。
「……うちの父親さ…、あたしがデキたって知った途端、逃げてさ。いわゆるヤリ逃げだよね。」
「…………。」
蓮は何も言わない。
…言えない、が近いかもしれない。
「あたしは…、あたしは、父がすごい憎いの。殺したいくらい、すごく憎い。」
感情が溢れて、瞳の奥がとても熱くなる。
蓮は、今どう思っているのだろうか。
あたしの事…、ひいたかもしれない。
嫌いになったかもしれない。
2人の間に沈黙が流れる。
……何か喋ってよ…、蓮…。
あたしは、もう無理…。