「よし、開いた!」

蓮はドアをゆっくりと押す。

すると今まで暗かった空間が、一瞬にして輝いた。


きっと祭りの屋台のちょうちんなどがこちらまで大きく差し込んでいるのだろう。


それでも星は様々なところに散らばっている。


「すごい…。でも何で蓮…ここの鍵持ってるの?」


「あー…。俺、小学、中学の頃元ヤンって言ったじゃん?喧嘩する度にここに運ばれててさあ…。その時にある人からもらった。」


「ある人?」

あたしがそう言うと、蓮は顔を一瞬強ばらせた。


しかしそれもほんの一瞬だった。

すぐに顔を戻す。


「優のお兄さん」


……あたしは、意味がわからなかった。


でも蓮はそんなのお構いなしと言った形で話を続ける。


「優って兄貴いたんだよね…。でもその兄貴ってのがかなり名の知れたヤンキーでさ…。ちょっと調子乗ってたんだよね…。」


蓮の声が徐々に震えていくのがわかる。


「俺もその頃、ヤンキーでさ。弟子入りしたんだよね。喧嘩しては、病院…2人でそれの繰り返し…。その時にもらった」


……蓮の過去が、露になる。