女が甘えて、男はその甘えに答える…。


そんな関係…、ちょっと羨ましいかも。


まあ、あたしに甘えなんてできないけど…。


だから…悔しい…。


あたしは、シュンとおびえた犬のように小さくなる。


せめて彼氏とお祭りを楽しむだけでもいいのに…。



今の状況ではそれすらできない…。


何とかしてコイツの機嫌をご機嫌にせねば…。


「あ…。金魚すくわないと。」


蓮が何かを思いついたように、そう言った。


は!?

金魚すくいに行くのではなく…。

金魚すくわないといけないの!?


何、その義務!?

「ちょ、蓮…。どういうこと?」


話が全く掴めず、あたしは首を傾げた。


「……後で、教える」


蓮はそれだけ言って、金魚すくいの屋台まで小走りで向かう。


ちょ、ちょ…ッ!

あたしを置いていくなよ!


あたしはそう思いながら、蓮の後を必死に追った。